「年齢を活かしたブランディングをしたくない」 “ふしだらプロデューサー”が目指す唯一無二の世界【黒井るく|キラメキ図鑑#1】



ーなるほど。ご自身の現状を分析した結果の判断だったんですね。

そうですね。時間に猶予がないというか、かなり遅めに始めてしまっているので、それが良くも悪くも「若さ」を活かせないなって感じた原点になってて。

最初から自分がハンデを持っているっていう自覚があったから「どうにかして自分の価値を高められないかな」と思っていたのはあるかもしれないですね。

ーそもそも、今の活動を始めようと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

高校時代、部活でデッサン部に入ったんですけど、部長になっちゃって。そのときに、企画とか運営をするわけですよ。「~やろう」とか「展示しよう」とか。そこらへんから企画とか運営をするのが楽しいな、みたいなのはぼんやり思ってました。

結局、大学は学芸員とかをやる学科を専攻したんですよね。で、そこからなぜか私はメイドカフェでメイドになって(笑)そこの経験からアミューズメント寄りで企画運営するの楽しいなって思ったのが大きいですかね。

ーメイドカフェで働いてらっしゃったんですね。

はい(笑)で、ちょうどメイドをやってるときに、今の私みたいな活動をしている方のお手伝いをしていたんですよ。そのときの楽しさを大学卒業して会社員になってからもずっと覚えてて。「あ、やっぱりやりたいな」って思って始めたって感じですね。

写真提供:黒井るく(@KURORUK_HEARTS

ーでは、メイドカフェでのアルバイトが一つの転機になったんでしょうか?

そうですね。一番大きな転換になったというか。人前に出て何かをするというのは、その前だったらあり得なかったかなって思います。

加えて、会社員時代にも仕事でも企画とか運営とかをやってたんで、会社員時代からプロデューサー寄りな仕事をしたいっていう思いは強くなってました。

そうなったときに、自分のやりたいことを叶えるためにはまずはプレイヤーとして経験を詰まなきゃなっていうのを活動を始める前から考えてて。

まずはモデルとして活動して知名度やモデルさんの知り合いを作った後に、イベントの企画とか運営をやりたいなっていうのが、今やっと追いついてきた感じですね。



ーそもそもメイドカフェで働こうと思ったキッカケについてお伺いしたいです。

元々メイドカフェに行くのが好きで、お嬢様として行っていたっていう背景もあるんですけど、元々私口下手で人と喋れないんですよ(笑)ネットとかだけすごい喋れるみたいな感じで。高校が女子校だったっていうのもあったりして、男の人と絶対喋れない、みたいな(笑)

で、そのまま大学で普通に過ごしてても、なんか人生つまんなくなっちゃうから「とりあえずやってみよう!」みたいな感じでやってみたら凄く楽しくなったって感じです(笑)

ー新しいことに挑戦する恐怖やハードルはなかったんでしょうか?

あるけど、やっぱりやらなかった時の方が私は後悔しちゃうタイプなので。「とりあえずやってみよう」みたいな気持ちはありますね。実際、やってけっこう失敗してる方だと思います。

けっこう手数も多くて(笑)10やって1成功すればいいぐらいの感じで。外れる前提で当てに行こうぐらいの感じです(笑)

どっかで楽しいなって思うところがあれば、結局はそこだけ記憶に残るので。そのつもりでガンガンやってます。

写真提供:黒井るく(@KURORUK_HEARTS

ー黒井さんは「何でもやってみる」精神をお持ちだと思うんですけど、それは昔からですか?

いや、でもやっぱりメイドカフェが転機なのかな。でも、メイドのときは学生だったので、会社員を辞めて今のモデルを始めてからは「やってみる」のスパンがもっと短くなりました。

元々、「会社員なら2年は働かなきゃ」とか「アルバイトだったら入って1ヵ月で辞めるのは非常識だ」とか、そういう常識的な「型」は意識しちゃうタイプだったんですよ。「合わないな」「おかしいな」って思っても我慢しちゃうタイプだったんで。

けど、結局それで身体の具合が悪くなっちゃって、会社を辞めざるを得なくなっちゃったんですよ。体調を崩しちゃうとお金も時間も無駄になっちゃうじゃないですか。

やりたいことが定まり始めていたタイミングだったんで、体調崩して会社辞めたときは「もったいないことをしたな」って思いました。

それからは自分が「ん?」とか「自分には合わない」って思ったり、「もっとやってみたい!」ってことができたら「そっちいこう!」っていう切り替えをするのが早くなりましたね。徐々に強くなっていきました(笑)



ーメイドカフェでの体験が大きな転機になったとおっしゃっていましたが、メイドカフェで辛い経験とかはなかったんでしょうか?

辛さとは少し違うかもしれないんですけど、最初の頃は自分をコンテンツとして見れていないというか、自分の良さを分かってなかったんですよね。

やっぱり、良い部分を自分で分かってみんなに見てもらおうって発信するのが、コンセプトのある活動をするうえで大事だなと。けど、当時はなんとなくでやっちゃってた部分がありましたね。

あとは、お客様との関わり方でも、「お礼を言う」とか「細かい話を覚えておく」とか、当時はあんまり考えていなくて。「来てもらった人にどうやったら楽しんでもらえるかな」っていう考えが浅かったんで、そこが上手くいかないなって思ってました。

なので、なんか分かんなくて迷走してました(笑)ごめんなさい、当時の人たち(笑)

ーなるほど(笑)今の活動ではいかがですか?

今だと、企画で関わってくださった自分以外の方のサポートをしていかなきゃいけないっていう責任の重さを感じることですね。

例えば、コラボしてくださったパフォーマーの方に「お金以外に何か還元できないかな」とか。新しく撮影会に入ってくださったモデルさんに「どうやったら人気が出るかな」「活動しやすくなるかな」とか。じゃないと、ソロでやってるのと変わらなくなっちゃうんで。

モデルとして自分のこともやらないといけないんだけど、周りの人を活かすこともちゃんとやらないといけないなって。そのバランスは気にしてます。シンプルに手が足りないですね(笑)

「やりたいんだけど間に合わない」みたいな感じで。メモには「手があと2本ほしい(笑)」みたいな感じで書いてますね(笑)

写真提供:黒井るく(@KURORUK_HEARTS

ープロデュースという仕事上、やっぱりそこは難しいですよね。

けど、そういう部分を周りの人は見てると思ってるんで。

正直、他の人のことをやらなくてもお金だけのやり取りで運営はできるんですよ。けど、なんというか、今はもう撮影会とか企画をやってらっしゃる人っていうのは他にもいらっしゃるので、「自分にできることって何だろう?」って考えたときに、細かく誠意を持ってやっていくことなのかなって。

ちゃんと活動を見て、その人に合ったものを提案していくっていうのは気をつけてますね。一人一人をちゃんと見るというか。

ーそういう気配りは元々できるタイプだったんですか?

いや、元々本当にできなくて(笑)人と企画をしたり、周りを見るっていう事に関しては会社員の頃の経験が活かされていますね。

私の場合はアミューズメント系の店舗運営だったんですけど、1年目からアルバイトの教育をやらなきゃいけなくて。業務をどんどん教えていかなきゃいけないんですけど、中には上手く仕事ができない人もいて。

そのときに、「何でこの業務ができないのか」をちゃんと考えてあげないとダメなんですよ。機械的に教えても全然自分の思うように人は動かないなって思いました。

けど、その経験は今、活かされてるかなって思いますね。アルバイトの方って自分より年上も年下もいらっしゃっるので、その人たちの在籍期間とかに合わせて教え方とかやり方を変えなきゃいけないんですよ。

人によって対応を変えるのって、けっこう負担になるんですけど、その中でも共通していたことがあったんですよ。「自分のことをちゃんと見てくれる人に人はついて行きたくなるよね」って。

そういう意味で、全然気を使ってるつもりはないんですけど、気配りって言われる部分なのかなって思いますね。



ー逆に、今の活動でのやりがいについて教えてください。

現場はもう全部楽しいですね(笑)モデルとしてソロで活動してるときもそうだし、イベントの間は常に楽しいんですけど、やりがいっていう部分で言うと「人の縁が繋がっているな」っていうのは常々思ってます。

活動を始めたばかりのときに会った人がずっと見てくれてて、企画とかやったときに来てくださったり。同じモデルさんでも、口コミで企画や撮影会を広めていただいて。「なんかいいよ~」みたいな感じで新しい人を呼んでくれて。

自分の蒔いた種がいろんなとこで花が開いてるのを最近やっと、3年目にしてちょっと実感できて。そういうときは、やってて良かったなっていうのはありますね。

ーなるほど。最近は徐々に上手く進められるようになってきた実感はありますか?

そうですね。けど、思い返すと、褒めてくれる人が周りに増えたって思います。最初の1、2年間はずっと一人でやっててたんですけど、途中で「あ、これは私のタイプにはあんまり良くないんだな」って思って。

そこから人と関わるようになったら、私のことを見てくれてる人が意外と居たんだなっていうのに気づいたんですよ。そのことに自分から近づいて行って初めて分かりました(笑)「実は見てたんですけど」っていうのがすごい多くて。

自分が関わった相手が実は自分のことを見てくれてた、みたいなのは凄く多かったです。

写真提供:黒井るく(@KURORUK_HEARTS

ーでは、今後の目標について教えてください。

おっきな夢であるのが「ふしだらプロデューサー」です。そのプロデュースに関しては、撮影会とかバーとかを通して、ちょっとずつ近づいて行ってるなって思うので。それを今年もっと成長させていきたいなって思ってます。

小さな夢としては、写真展をやりたいっていうのを言ってて。これは私含めて「コケティッシュ企画」のメンバーと一緒に、「コケティッシュワールド」「ふしだらワールド」って感じで、唯一無二な世界、空間を作ってみたいなって思ってます。

取材/構成:Ryo

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