「失敗しても、また挑戦すればいい」とは、よく言われる話だ。しかし、アーティストのライブや重要な顧客との商談など、世の中には「二度目の挑戦」がよしとされない事象もある。
そしてそれは、大学ミスコンも同様ではないだろうか。各大学でミスコンが開催されるようになって数十年が経つが、同じ大学のミスコンに2度出場した人は、数えるほどしかいない。
2023年の福岡大学のミスコンでグランプリを獲得した今津満理菜さんも、その一人だ。
今津さんは、なぜ2度もミスコンにチャレンジしたのだろうか?
その真意を聞いた。
今津満理菜(いまづまりな)
転機は大学入学後のファッションショー
今津さんの一つひとつの動作には、どことなく「華」がある。
本人は意識していないだろうが、それはおそらく、彼女自身が幼少期から続けてきたバトントワリングと無関係ではないだろう。
「バトントワリングは、5歳の頃から大学に入るまで、14年間やってました。あと、中学時代には陸上部、高校時代にはバドミントン部にも入ってましたね」
まさに、アクティブで行動的な少女といったところだが、性格は以外にも内気だったと言う。
「昔の性格は、こじんまりしてるというか(笑)。人前で話したり、表舞台に立ったりするような性格ではなかったですね」
そんな今津さんにとっての転機は、大学入学直後。キャンパス内を歩いていると、「ファッションショーに出ませんか?」と勧誘を受けた。
大学入学前にも芸能系の勧誘をされたことは何度かあったそうだが、まったく興味がなくすべて断っていた今津さん。
しかし、このときは「ファッションショーならいいか」と承諾。勢いで、ファッションショーへの参加を決めた。
ファッションショーに参加する前には、ウォーキングレッスンやLIVE配信などを経験した。特に、LIVE配信での「友達や家族以外の誰かが自分のことを応援してくれる」という体験は、今津さんにとっては新鮮だった。
「ファッションショーの本番はめちゃめちゃ緊張したんですけど、LIVE配信を見てくださっていた方がファッションショーを実際に見に来てくれたりしたので、達成感というか、楽しさが一番ありました」
まさかのミスコン予選落ち
ファッションショーの出演がきっかけで「表舞台に立つ楽しさ」を知った今津さんは、ファッションショーからしばらくして、被写体モデルとしての活動をスタートさせた。
そして、大学2年次は福岡大学のミスコンへの参加を決意した。
「『ミスオブミス』に先輩が出ているのを見て、応援している内に『自分もあんなふうにキラキラ輝けるようになりたい』って思ったのがきっかけですね。あとは、周りの友達も『出てみたら?』と言ってくれたので、出場を決めました」
しかし、結果はまさかの予選落ち。グランプリや準グランプリはおろかファイナリストにもなれず、ミスコン当日のステージに立つこともできなかった。
あまりにも厳しい現実を突き付けられた。
しかし、この予選落ちで、今津さんの心に完全に火が付いた。
「元々負けず嫌いなのもありますし、一度『やる』と決めたらとことんやる性格なので、なんとしてもリベンジしたかったんです」
とは言え、冒頭で述べた通り、一般的に大学のミスコンに2度出場することはかなり珍しい。
今津さん自身も「『え、また出るの?』みたいに思われるのが怖かった」と語るように、好意的に見られることのほうが少ないだろう。
「けど、そのときは友達や周りの人が『大丈夫だよ。今年も出なよ』って言って支えてくれたので、めちゃくちゃ心強かったです」
「地方勢の原動力に」
不安もありながらも、今津さんは2度目のミスコン生活をスタートさせた。そして、これまで培ってきたLIVE配信やSNS発信のスキルをフル活用し、見事グランプリを獲得。2年越しのリベンジを果たした。
そして、現在は「MISS OF MISS CAMPUS QUEEN CONTEST 2024」に参加し、20名しか残れない決勝前半戦まで勝ち残っている。ちなみに、今津さん以外の19名は全員が関西・関東の大学生で、地方勢は今津さん一人というのだから、なかなかの快挙だろう。
今津さんは、コンテスト期間中はほぼ毎日配信を行っているが、3年生の春休みということもあり、就活も無視できない。
「今はプライベートの時間はほとんどない」と語る今津さんだが、その表情はむしろ楽しそうにも見えた。
「『誰かに影響を与えられる人になりたい』っていうのはずっと目標としてあるので、就活ではアナウンサーを目指しています。あとは、今回のミスオブミスでも唯一の地方勢として、今後の地方からの参加者がもっと増えるように、私が地方勢の原動力になりたいと思ってます」
忙しい毎日を過ごしながらも、大きな目標を持って日々の努力を続ける今津さん。
そんな彼女のこれからの活躍に、期待せずにはいられない。
取材・文・写真:ワダハルキ