マッチングアプリ・Dine(ダイン)を運営する株式会社Mrk&CoのCEO・上條景介(かみじょうけいすけ)氏。インタビュー前編では、上條氏がDineのコンセプトに込めた思いについて伺った。
後編となる本記事では、マッチングアプリの現状やマッチングアプリが抱える課題に加え、上條氏が考えるDineの攻略法について紹介する。
「このアプリにはこういう人しか使わない」は間違い
ーマッチングアプリは「マッチしてやり取りをする」という大枠の機能はどのアプリも共通していますが、アプリ間で利用者層が違うと感じています。それは、どういった理由があると思われますか?
上條社長(以下、上條):「このアプリはこういう特徴の人しか使わない」って言われてたりしますけど、あれは本質的には間違っていると思っています。
例えば、ペアーズさんは1000万人ぐらい会員がいて、他のアプリも数百万人単位で会員がいるわけですよね。けど、それらを全部足すと日本の独身人口を遥かに上回るんですよね。ということは、基本的には同じ人が複数のアプリを使っているということになります。
そうなると、各アプリの利用者は変わらないわけなんですよ。なので、「このアプリにはこういう人しか使わない」っていうことは、基本的には起こりえないんです。
ー確かにそうですね。
じゃあ、なんでそういう印象になるかっていうと、人間はTPOに応じて行動を変えるからです。
例えば、「ゼクシィ縁結びでは、結婚相手を真面目に探したいから、プロフィールも真面目に書こう。けど、Tinderでは結婚相手じゃなくてカジュアルな出会いがいいな」みたいな。
そもそも前提として、Dineの「出会いの、最短距離」みたいなコンセプトが各マッチングアプリにもあるので、そのコンセプトに共感してもらえない人たちをアプリ側がスクリーニングしてるんですよ。だから、それぞれのアプリには「真面目」「カジュアル」といった印象がつきます。
とはいえ、先ほども言った通り、結局は同じ人が複数のアプリを使っているので、「このアプリにはこういう性格の人が多い」というよりは、「このアプリにはこういう立ち振る舞いをする人が多い」っていうのが正解だと思っています。
ーアプリによって振る舞いを使い分けているってことですね。
要はアプリ内での前提の共有が重要なんですよね。Dineで言えば「長々とメッセージをするべきではない」っていう前提の中でそれぞれの利用者が振る舞います。だから、アプリによる違いが出てくると思っています。
ーそれで言うと、Dineは真面目かカジュアル、どちらの振る舞いをする人が多いんでしょうか?
リリース当初はカジュアル寄りだったんですけど、今は婚活だったり、恋人を作るのに役立つツールだと思っているので、そっちに主眼を置いてますね。なので、この1、2年は婚活アプリを名乗っています。
やっぱり、婚活や恋活といった「必要に迫られているもの」を「最短距離」で提供できるのがDineの強みだと思っているんで。「仕事が忙しいけど人生のパートナーを見つけたい」「結婚がすべてではないけども大切な人を見つけたい」そういった方々をサポートするアプリでありたいと思っています。
「相性」は会ってみなければ分からない
ーただ一方で、「出会いまではサポートできるけど出会ってからのやり取りをサポートすることは難しい」という課題もマッチングアプリにはあります。そこに関して、上條社長はどうお考えですか?
アプリを運営する側としても何かしらのアプローチはできると思いますけど、根本的には「出会い」って「相性」なんで。
みんなよく人のことを「良い」「悪い」の2軸で絶対的に評価しがちですけど、相性だから「ある人にとっては良いけど、ある人にとっては悪い」っていうことだと思います。
だから、「そもそも解決すべき問題なのか?」っていう話もあります。
もちろん、できるだけ相性がいい人とマッチングさせることは僕らができることですけども、根本的には相性の問題なので「そういうもんだよ」っていう認識ではあります。
ー確かに実際はそうですね。
ただ、相性以前の問題で落とされることはあるので、そこは気を付けるべきだと思いますね。例えば、清潔感がないとか、しゃべるときに挙動不審だとか。
けど、そこに関しては今はいろんなサービスや専門の人たちがいるので、自分がそこが苦手だなと思うのであれば、そこにコストをかけてマッチングアプリをやった方が、人生的にもいいと思いますね。
ーそういう意味では相性が事前にわかるような相性診断などは、効果的なんでしょうか?
相性診断って、科学的には証明されていないんですよね。相性診断って占いよりも信憑性があると思われているんですけど、僕が知る限り「この性格の人とこの性格の人が相性がいい」っていうことが立証された論文はないんですよ。
なので、今の科学では事前に相性なんかわかるわけないと思っています。
であるならば、僕らができることは、ある程度のスクリーニングをした状態で実際に会ってもらってフィーリングを確かめてもらうっていうことだけなんですね。
コツは「Dineの指示通りにやること」
ー上條社長が考えるDineの上手な使い方についてお伺いできればと思います。
基本的に、Dineのアプリが出している指示に逆らわないことですね。
ーシンプルですね(笑)
はい(笑)先ほども話した通り、できるだけ落とし穴を少なくしたいと思っているので、Dineの指示をそのままやっていけば、マッチングしてデートできるように作っているつもりなんですよ。
なので、「デートができない」っていうふうにサポートにお問い合わせいただく方は、だいたいDineの指示とは逆なことをやっていて、自己流がすごいんですよ。
例えば、プロフィールの写真には全部点数が出るようになっているんですけど、これを全部「良い」の状態にすればいいのに全部「悪い」になっているとか。
自己紹介文で「こういうふうな書き方をしてください」って書いているのに「よろしくお願いします」だけで終わっているとか。
「プロフィール欄の項目を埋めてください」って言ってるのに、一個も記入してないとか。
「どうやってあなたを判断するの?(笑)」っていうケースは多いです(笑)
ーまあ、それはそうですよね(笑)
あとは、マッチング後に関しても基本的にはメッセージしなくていいんですよ。承認ボタン押して予約確定すれば、何もしなくても当日会えるんで。
けど、実際に会えない人っていうのは「このお店でマッチしたんですけど、よかったら焼き鳥に行きませんか?」とか「会う前に聞いておきたいんですけども~ですか」とか、無駄な会話をして地雷を踏んでいることがほとんどです。
ー実際にそんな人もいるんですね…(笑)
なので、僕らはある程度データに基づいてアプリを設計しているので、完全に信用しろとは言わないですけども、あんまり会う前の段階で我を出さない方がいいんじゃないかなと思ってますね。魅力は会ってから伝えればいいので。
もっと「デカく」なりたい
ーDineをどういう人に使ってもらいたいと考えていますか?
これは一貫しているんですけど、「出会いの、最短距離」っていうコンセプトに共感してくれる人ですね。
そもそもなぜこのコンセプトにしているかというと、僕はマッチングアプリで出会うまでのメッセージのやり取りとかの時間は無駄だと思っているんですよ。
マッチングアプリをやる時間があったらもっと仕事頑張った方がいいと思いますし、もっと趣味に時間を割いたり、見た目とか意識して自分を改革した方がいい。要は、もっと自己投資に時間を使うべきだと思っています。
ただ、僕らとしては全てを合理化したいわけではないんですよ。Dineには「出会うまでに費やしていた時間が、出会ってからの、ふたりの時間になることを願って」っていうフレーズがあって、出会うまでの人に頑張って時間を費やすなら出会ってから「この人は合うな」って思っている人に時間を使ってほしいなと。
なので、「仕事を頑張ってて忙しいけど、人生を豊かにするためにいいパートナーは欲しい」っていう人たちに使っていただきたいです。
ーでは、最後にDineの今後の展望についてお聞かせ下さい。
「もっとデカくなる」ですね(笑)
やっぱりもっともっと大きくならないと、社会的価値は出てこないと思うんですよ。
で、僕らのアプリって我ながらいいアプリだと思っていて。忙しくて時間がない人でも出会えるようになっているし、そういう人たちが良い人に出会うこともできる。
かつ、これは副次的なんですけども、外に出て食事をすることで地域経済もけっこう回っていて、三方良しで。受け入れてくれているお店も応援してくれるし、ここの回転をもっともっと回していきたい。
だからこそ、もっともっと大きいサービスにしていきたいですね。
Ryo
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