大学生活というものは、多くの若者にとって、人生の転機の一つとなり得る。なぜなら、大学生活では、高校までと比べ物にならないほど、圧倒的な「自由」が手に入るからだ。
この「自由」には「時間的な自由」はもちろん、「金銭的な自由」や「法的な自由(飲酒や喫煙)」なども含まれる。
高校時代まで習い事漬けの生活を送っていた、ミスキャンパス同志社2023ファイナリストの友保七萌さんにとって、そんな大学生活の「自由」は喉から手が出るほど欲していたものだった。
大学生活で「自由」を手にした友保さんは、どのように変わっていったのか。大学入学までの生い立ちと併せて、話を聞いた。
友保七萌(ともやすななほ)
高校まで続いた“習い事生活”
英文学科に在籍し、所属しているESS(英語サークル)の活動ではスピーチコンテストに出場。高校時代はニュージーランドに1年間留学経験ありと、まさに生粋の英語使いである友保さん。
だが本人曰く、幼い頃は内向的な性格だったそう。
「お父さんに全然なつかなくて、お母さんとしか話せないような子でした。誇張抜きで、人と関わるのがめちゃくちゃ嫌いで…(笑)」
そんな様子を心配したお母さんは、小学生の友保さんを劇団に入れようと試みたそうだが、友保さんは「断固として拒否した」と言う。
「同級生や身内とはすごく仲良くなれるし、集団の輪に入ることもできるんですけど、特に初対面の人と話すのが苦手なんです」
時には、「私に話しかけないで!」というオーラを出すほど、人とのコミュニケーションに抵抗があった。
その分、友保さんは勉強には力を入れていた。
中学・高校時代には、塾を3~4つかけもちして、他にも書道やヨガ、ボイストレーニングにも通っていた。まさに、「習い事中心の生活」である。
ちなみに、この生活は高校生活が終わるまで続いたと言う。
「平日は毎日塾か習い事に行ってたので、部活はもちろん、友達と遊ぶ時間とかも全然なかったですね」
一般的な中学生・高校生なら、「友達と遊びたい」「部活をやりたい」という気持ちが出てきそうなものだが、当時の友保さんはあまり疑問を持たなかった。
良く言えば「素直」、悪く言えば「親の言いなり」だった中高時代。しかし、大学入学後は親の干渉がほとんどなくなり、期せずして友保さんは「自由」を手に入れる。
「大学に入って、はじめて部活というか、サークルに入ったんです。それまでの習い事は個人行動がほとんどだったので、集団行動はめちゃくちゃ新鮮でした(笑)」
先輩や後輩、同期など、これまでの人生では経験してこなかった人間関係を築いていき、人とのコミュニケーションに対する抵抗感も徐々に薄れていった。
大学生活最後の“挑戦”
自由な時間が増えて、積極的に人と関るようになった友保さんの大学生活は、高校までと比べると遥かに充実したものとなった。
勉強に、サークルに、アルバイトと、充実した時間を過ごしていくうちに気が付けば4年生に。しかし、就活も無事に終わっていたため、あとは卒業するだけという状態。友保さん自身、充実した学生生活を送れた実感はあった。
「何も心残りはないはず」
そう思って、自身の大学生活を振り返っていくにつれ、「大学生のうちに何かに挑戦してみたい」という想いが徐々に湧き上がっていった。
そのときふと、3年の春に先輩からかけられた一言を思い出した。
「3年生の春ごろに『ミスコンに挑戦してみたら?』って先輩に言ってもらったんです。そのときはもう募集を締め切っていたので忘れてたんですけど、『最後に挑戦してみよう』って思って、エントリーしました」
大学生活を通して、親の言いなりではなく、自分で道を選択することを学んだ友保さん。そんな彼女にとって、ミスコン挑戦は、まさに大学生活の集大成と言えるものだった。
「もっと親しみやすさを出していきたい!」
実際に活動がはじまると、SNSの更新やLIVE配信、撮影など、想像以上の忙しさに戸惑うこともあった。しかし同時に、「自分の発信にたくさんの方からコメントやリアクションをもらうことが今までなかったので、めちゃくちゃ新鮮です」と、日々の活動への充実感もにじませる。
8月には関東のイベントにファイナリスト6人全員で参加し、イベント後には、「6人全員でお泊りして、朝までおしゃべりしていた」と言う。
高校時代の友保さんが今の友保さんを見たら、「信じられない」と思うかもしれない。それぐらい、友保さんは変わったのだ。
「けど、もっと上手くチームワークを高められる人になりたいんですよ(笑)もっと親しみやすさを全開にして、とっつきやすい感じになりたいです!」
大学時代で人嫌いを克服した友保さん。彼女の成長は、まだ終わらない。
取材・文:ワダハルキ
撮影:けんを